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膀胱がん

膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿を一時的に貯留するタンクとしての役割と尿の体外への排出と相反する2つの役割を持っています。膀胱内腔の表面は移行上皮という上皮で覆われ、伸縮性に富むことが特徴的です。膀胱癌は、この移行上皮ががん化することによって引きおこされ、組織学的には移行上皮がんが全体の90%を占めています。
膀胱癌は人口10万人あたり毎年約20人に発生し、それほど多いがんではありませんが、年々増加の傾向にあります。若年者にもときにみられますが、50歳以上の方に好発し、男性が女性の2~3倍の高い頻度です。喫煙者は非喫煙者に比べて4倍程度発生率が高く、化学物質や染料を扱う職業の人にも好発することが有ります。また、慢性膀胱炎や膀胱結石などの人もかかりやすいといわれ、アフリカなどでは寄生虫による膀胱癌の発症も知られています。

膀胱癌のタイプ

⑴.表在性乳頭状膀胱癌
悪性度の低い癌で、膀胱の内面に突出します。腫瘍表面はカリフラワー様で茎を持っていますが、茎の根は浅く、内視鏡的に治療可能です。しかし、再発率が高いことが知られており、半数以上の患者さんで膀胱内に再発します。腫瘍の茎の深さは膀胱の筋肉の層には達していません。

⑵.浸潤性膀胱癌
(1)のがんと異なり、がんの表面は比較的スムーズで、こぶのように盛り上がるものや、膀胱粘膜下に進展して粘膜がむくんで見えるものまでさまざまです。悪性度の高い癌で、根が広く膀胱の壁の深いところまで浸潤する傾向があり、転移することもあります。膀胱摘出、抗癌剤の使用、放射線療法など、体に負担のかかる治療が必要となります。

⑶.上皮内癌
膀胱の表面には、ほとんど隆起した病変を生じませんが、膀胱粘膜壁に沿って悪性度の高いがん細胞が存在している状態です。初期のがんではありますが、無治療でいると高率に浸潤性のがんになっていきます。

膀胱癌の症状

⑴.肉眼的血尿
膀胱癌の初発症状として最も多く認められる症状で、排尿時痛などの痛みは伴わないことが一般的です。

⑵.排尿痛、頻尿、排尿困難
肉眼的血尿はなく、初発症状が排尿時痛や下腹部の痛みで出現する場合があります。この症状は膀胱炎と非常に類似しているため、膀胱炎として治療されていることもありますので、膀胱炎を頻発する場合注意が必要です。抗生剤を服用してもなかなか治らないことが特徴です。

診断

○膀胱鏡
尿道からL-SEP膀胱の中に内視鏡を入れて膀胱内をみる検査です。

○経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
L-SEP膀胱に癌を疑ったならば、次にこれを切除し顕微鏡でみて病理診断を行います。癌かどうか、根の深さ、たちの悪さなどが分かります。

○排泄性腎盂造影
L-SEP造影剤を注射し腎盂、尿管、膀胱の形を見る検査です。膀胱に癌がある際は、膀胱に繋がる尿管や腎盂に癌があることも珍しくありません。

○CT, MRI
L-SEPMRIでは主に膀胱癌の根の深さを調べます。また、膀胱周囲のリンパ節に転移がないか調べます。CTでは肺、肝臓、腹部リンパ節などに転移がないかを調べます。

○骨シンチグラフィー
骨への転移がないかを調べます。

治療

○科的治療
⑴.経尿道的膀胱腫瘍切除術 : TUR-Bt
特殊な内視鏡を尿道から挿入し腫瘍を切除する方法です。主に腰椎麻酔で行い、腫瘍を切除します。組織診断が可能であり、表在癌であれば、この手術で治癒も可能です。しかし、浸潤癌であればこの手術だけでは治療が不十分であり、下記の追加治療が必要になります。
手術後は再発腫瘍を早期に発見するために、2年間は3ヶ月毎の膀胱鏡を行う必要があります。また、内視鏡下切除手術の直後に、抗癌剤を1回だけ膀胱内に注入する「術後即時単回膀胱内注入」が膀胱癌再発防止に有効であると報告されており、当教室でも積極的に行っています。
⑵.膀胱全摘除術
膀胱と尿道を一塊に完全に摘出する手術です。場合によっては尿道を残すこともあります。経尿道的膀胱腫瘍切除術では完全に切除できない浸潤癌に行います。表在癌であっても再発を繰り返し多発する、さらに、たちが悪い癌であれば膀胱全摘を行うこともあります。 膀胱を摘出するため、尿を違う所から出す手術(尿路変更手術)も同時に必要になります。

尿路変更について

○回腸導管法
20cmほどの小腸を尿路の一部に用いる方法です。これに左右の尿管を縫い付け、小腸の一端は閉じ、反対側はストーマとして下腹部に出します。ここに、集尿袋を貼り、尿を溜めます。 歴史があり安定した手術ですがお腹に袋を下げるという煩わしさがあります。

○尿管皮膚瘻
尿管を直接下腹部に出し、ここに集尿袋を貼り、尿を溜めます。腸の手術既往などがあり、腸を尿路変更に使用できない症例に行います。

○自然排尿型代用膀胱
長く切った小腸を袋状にし、残した尿道につなげます。この袋に尿管も縫い付けます。お腹に力を入れ自力で尿を出すことが出来ます。 今まで通り尿道の先から尿が出せ集尿袋を貼る必要がありませんが、手術後に尿失禁や排尿困難が問題となることもあります。また、手術時間も長くかかることから若い方に向いた方法です。

○放射線治療
放射線によって癌細胞を死滅させる方法です。浸潤性膀胱癌に行われますが、放射線のみでは治癒することは困難なことが多く、抗癌剤と組み合わせて行われています。 また、膀胱癌の進行で血尿がひどく、貧血が続くような症例に血尿を改善させる目的で使用したり、膀胱癌が骨などに転移し、骨の痛みがひどい場合などに痛みを和らげる目的で行われることがあります。

○抗癌剤治療
肺、肝臓、骨などに転移のある進行した膀胱癌では癌が全身に広がっているため手術では治癒できません。この場合には抗癌剤を点滴し全身に広がった癌の治療を行います。明らかな転移が無くても膀胱の筋層のリンパ管や静脈の中に癌が認められる場合はすでに癌が全身に広がっている可能性が大きいため、手術前や手術後に抗癌剤治療を追加することで癌治療の成績向上をめざしています。
以前はM-VAC療法(メソトレキセート、ビンブラスチン、アドリアマイシン、シスプラチンという4種類の抗がん剤の組み合わせ)が行われていましたが、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎、下痢などの副作用が強く、高齢者には治療継続が困難となることがありました。
近年はGC療法(シスプラチン、ジェムシタビン)がM-VAC療法と治療成績が同等と報告され、副作用も少ないためこちらを行うことが多くなっています。GC療法で治療効果がない際にも、パクリタキセルやジェムシタビンといった新規抗癌剤を含む治療メニューを用い、より副作用を抑えながら転移巣の治療が行えるように新しい化学療法にも積極的に取り組んでいます。

○BCG膀胱内注入療法
BCG(弱毒化した結核生菌)を、カテーテルを通し膀胱内に注入する方法です。 上皮内癌や多発する表在性膀胱癌の治療や再発予防として行われます。

当科で行っている治療の特色

○腹腔鏡下膀胱全摘術
厚生省に高度医療として認められ、第3項先進医療として行っています。開腹手術に比べると少し時間はかかりますが、傷がとても小さく負担も少ないため、手術後の開腹が早いという利点があります。

○光力学診断補助下内視鏡手術
5-アミノレブリン酸(5-ALA)を膀胱内または血管内に投与し蛍光膀胱鏡を用いて膀胱癌を赤色に発光させながらTUR-Btを施行し、残存なく膀胱癌を切除するという全国の研究にも参加しています。

○挟帯域光観察(NBI)システム補助下内視鏡種手術
NBIシステムとは挟帯域光観察(NBI=Narrow Band Imaging)システムのことで、粘膜表面の微細な血管を観察するシステムで、内視鏡診断を飛躍的に向上させます。がん等の腫瘍は、粘膜表面の微細な血管パターンが変化するため、通常の内視鏡検査ではわかりにくい腫瘍の発見の診断に有用です。これを用いて膀胱癌の内視鏡治療(TUR-Bt)を行い、癌の診断や治療成績の向上に努めています。

アクセス

〒879-5593
大分県由布市挾間町
医大ヶ丘1丁目1番地
TEL:097-549-4411 (代表)
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