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腎移植

①.はじめに

腎臓の機能が著しく低下、あるいは失われることによって、本来尿として体外へ捨てられるはずの様々な毒素(総称して尿毒素と呼びます)や水分が蓄積する状態を慢性腎不全と言います。糖尿病や高血圧、腎臓病等が原因で慢性腎不全になりますが、慢性腎不全の患者さんは年々増加しています。慢性腎不全の治療には血液透析、腹膜透析、腎移植があり大分大学医学部腎泌尿器外科は腎臓内科と協力しながら全ての治療を担当しています。
それぞれの治療に利点・欠点がありますが、腎移植は新しい腎臓が体内に入ることで再度腎機能を得る治療です。慢性腎不全を根本的に治す唯一の治療(腎不全そのものを解消する治療)であり、慢性腎不全患者さんの生存率や生活の質をより良くする方法として重要です。
当科では学会が認定した腎移植専門医が腎移植を行っています。

②.腎移植の種類について

腎移植には献腎移植(亡くなった方の善意で提供して頂いた腎臓を移植する)と生体腎移植(親族から提供して頂いた腎臓を移植する)があります。日本では1年間に1400件程度の腎移植が行われていますが生体腎移植が1200件、献腎移植が200件程度と大半が生体腎移植です。
当科では開院~2011年11月までに47例の生体腎移植と11例の献腎移植を行っており、日本臨床腎移植学会が公表している日本の腎臓移植の成績とほぼ同等の移植後生存率、移植後生着率となっています。

③.生体腎移植について

生体腎移植を希望される方(腎移植を受ける方をレシピエントと呼びます)は腎提供予定の方(ドナーと呼び、ドナーは親族に限られています)も含めたご家族で当科外来にお越しください。夫婦間、血液型が異なる方の移植も行っています。外来にて腎移植のお話をさせて頂き、ドナーと共に必要な検査を順番に行います(検査入院が必要な場合があります)。
検査結果に問題なければ、腎移植手術の時期を計画します。ドナーとレシピエントは手術の数日前から入院して頂きますが、ドナーとレシピエントの血液型が異なる場合は移植の2週間前から入院や処置が必要です。移植手術はドナーの手術(移植腎採取術)とレシピエントの手術(生体腎移植術)を2つの手術室を使って同時に行います。移植腎採取術は移植に用いる腎臓を摘出する手術です。
昔は脇腹を大きく切開して手術を行っていましたが、近年は体の負担が小さいように、腎臓を取り出すのに必要最小限の約5cmの傷から全ての手術を行い、その傷以外に体にメスを入れない単孔式腹腔鏡下移植腎採取術を日本で唯一行っています。レシピエントは通常右の下腹部を15cm切開し、そこに腎臓を移植しています。移植後はほとんどの方が約2週間で退院となり、定期的に外来通院で経過を見ています。

④.献腎移植について

献腎移植は順番待ちの状態で登録(申込み)が必要です。献腎移植を希望される方は、透析施設に献腎希望の旨を説明し、必要な書類を持参して当科外来を受診してください。当科にて献腎登録します。登録後、患者さんに合った腎臓提供があるまで待機していただきます(平均15年待ち)。献腎が出た場合、日本臓器移植ネットワークが登録している患者さんの中で誰に合うかを判定し、ある日突然「あなたに合う腎臓提供があります」という電話がかかってきます。献腎移植の希望を最終確認後、緊急入院となります。腎臓が当院に到着するまでの時間に必要な検査や透析を行い、結果に問題なければ腎臓が到着次第、移植手術を行います。移植手術は生体腎移植と同様に、通常は右の下腹部を約15cm切開し、腎臓を移植しています。献腎の場合、移植して腎臓が働き始めるまで平均2週間ほど時間が必要であり、腎臓が働き始めるまでの間通常通り血液透析を行い、移植した腎臓の働きが安定したら透析をやめてみて退院の日にちを決めています。

⑤.腎移植後の注意点

腎移植で注意が必要になるのは拒絶反応です。拒絶反応とは、自分の肉体とは異なるものが体に侵入した場合、それを排除しようとする正常な体の防衛反応です。拒絶反応は移植した腎臓に障害を及ぼすため、拒絶反応を抑える目的で免疫抑制剤の内服が必要です。
拒絶反応を抑えることはウイルスや細菌などの病原体が体に侵入した際の正常な体の防衛反応の抑えてしまい感染症になりやすくなるため移植した患者さんは感染症にも注意が必要になります。

⑥.最後に

腎臓移植は腎不全治療のゴールではありません。スタートです。現代の科学、医学の発達に伴い移植術は成績が良くなり日本は世界で最も腎移植の成績が良い国となっています。
しかしまだまだ不明な点、わからない点もあります。当科では最善と考えられる検査と治療を実施していきますが、ドナーやレシピエント、その家族の方々とよく話し合い、相談しながら診療を行うように心がけています。

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〒879-5593
大分県由布市挾間町
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