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腎腫瘍

①.腎臓(じんぞう)の位置と働き

腎臓は、通常、脊椎(せきつい)の両側に左右1つずつ存在する長径10cmほどのそら豆型の臓器です。尿の生成、血液のろ過、体液量の調整、血圧の調整、造血、骨代謝などさまざまな役割を果たしています。

②.腎腫瘍の分類

腎臓にできる腫瘍には、良性のものから悪性のものまで、様々な種類があります。代表的なものは以下の通りです。

⑴.腎(細胞)がん
腎実質由来の悪性腫瘍で、腎腫瘍の中で最多です。いくつかの亜系があり、遺伝性のものもあります。詳細は後述します。

⑵.腎盂(じんう)がん
腎のなかの尿を集める空間(腎盂、腎杯(じんぱい)に発生する腫瘍で、膀胱(ぼうこう)がんと基本的な組織像(移行上皮がん)は同じです。手術療法としては、腎と尿管を一緒に摘除する腎尿管全摘除術が標準的で、当科では腹腔鏡(ふくくうきょう)下にも多数例行っています。転移のある方や手術後に再発した方には、複数の抗がん剤を併用した全身化学療法を行っています。膀胱がんが20-30%と高率に続発します。

⑶.血管筋脂肪腫(けっかんきんしぼうしゅ)
腎臓に発生する良性腫瘍のなかで、比較的頻度の高いものです。文字通り、血管成分・脂肪成分・平滑筋成分より構成されますが、その比率はさまざまです。良性腫瘍ではありますが、大きくなったり、出血・破裂する危険性がある場合、また腎がんとの見分けが困難な場合などは手術療法の対象となります。

⑷.単純性腎嚢胞(のうほう)
良性の腫瘍で、腫瘍内に液体が貯留し、水ふうせんのような形態を呈します。両側の腎臓に複数見られることもあります。加齢とともに発症頻度が高くなり、70歳以上では約30%に見られるとの報告もあります。通常は経過観察のみでよいとされていますが、大きくなって症状が出現した場合や悪性腫瘍を合併した場合は手術療法の対象となります。また、腎機能障害の原因となるような他の遺伝性嚢胞性疾患との鑑別にも注意が必要です。

以下は、最も多い腎(細胞)がんに関する内容です。

③.腎がんの症状・臨床所見

古くは肉眼的血尿・側腹部の痛み・しこりの触知が3主徴とされていましたが、近年は健康診断や他の病気の検査などで行ったエコー(超音波検査)やCT(コンピュータ断層撮影)で偶然発見される、無症状の方の割合が多くなっています。

④.腎がんの検査・診断

エコー、CT、MRIなどの各種画像検査の所見を総合的に判断して行います。
病気の進行具合(臨床病期)に応じて、治療方法が異なってきます。

⑤.腎がんの手術療法

腎がんは薬物療法や放射線療法で根治することは困難で、手術療法が唯一の根治を期待できる治療法とされています。
当科では、腎臓に限局する腫瘍の場合、1990年代から積極的に腹腔鏡下根治的腎摘除術に取り組んでおり、治療成績も従来の開腹手術に劣らないものとなっています。腹腔鏡下手術では、従来の開腹手術のような大きな皮ふ切開を行わず、3-5か所程度の小さな傷から、カメラや器具を挿入して、体内で腎臓を遊離します。術後の痛みも少なく、早期の社会復帰が可能です。さらに、2009年からは、日本国内では先駆的に単孔(たんこう)式腹腔鏡下腎摘除術も導入しています。単孔式腹腔鏡下手術は、通常の腹腔鏡手術よりさらに傷の数を減らし、4-5cm程度の単一の傷から手術を行うため、術後の整容性に優れています(図1)。
また、主に4cm以下の比較的小さな腫瘍に対しては、腫瘍だけを切除して、正常部分は温存する腎部分切除術を積極的に行っています(図2)。最近は、全ての行程を腹腔鏡下に行う腹腔鏡下腎部分切除術にも取り組んでおり、良好な治療成績を挙げています。
さらに、腎静脈や下大静脈などの血管内に腫瘍が入り込んでいる場合や腎周囲に一部腫瘍が広がっている場合などは、臆することなく従来の開腹手術での拡大摘除術も行っています。

⑥.腎がんの薬物療法

転移のある方や手術後に再発した方などが対象になります。腎がんには、一般的な抗がん剤はあまり有効ではありません。そのため、以前はインターフェロンやインターロイキン2といった自己免疫を高めるサイトカイン(免疫)療法を主体に治療を行っていましたが、2008年より日本国内でも分子標的薬という新しい作用機序の薬が使えるようになりました。
分子標的薬は、近年、世界中で多数の薬剤の開発が進んでおり、様々ながんに有効であることがわかってきました。いろいろな副作用が起こることがありますが、腎がんに対しても、免疫療法に比べて、高い有効性が期待されています。
現在、国内では4種類の分子標的薬が認可されており、当院でも全ての薬剤による治療が可能です。投与方法は、内服や点滴で、治療開始時は入院して行うことがほとんどですが、慣れてくれば外来通院しながら、治療を継続することも可能です。

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